アレルギーについて その4

さて、では、アレルギーを示さない食事を考えるなら、
何が大切か、を書いていきます。
ご飯を作っていくについて、何を注意するのか?
どういうのが入れたらダメなのか?
それを考察していきましょう。
様々な病気についての話を混ぜて書いていくので、
どのような場合にもある程度対応できるようにしていきますので、
じっくり読んでみてください。
ちょっと獣医師向けの内容から抜粋しているので、
難しいと思いますけど、読んでみてください。

 

◆ナトリウムの制限

一般的には、塩分と考えてもらっても問題ないでしょう。
塩はNaClっていうので、 {
昔の化学式を思い出してみてください。
一般的に、心疾患腎疾患を引き起こしたり、
悪化させる要素としてこれらの物質は考えられています。

鬱血性心不全は、 ナトリウム(Na)、クロライド・クロール(Cl)、
水の貯留に関連していまして、
これらの栄養素は心血管系疾患の患者では 特に重要になります。

正常な犬や猫では、多量のNaを摂取しても、
数時間内には過剰分を 尿中に容易に排泄することが可能です。
しかし、心疾患が悪化して
鬱血(うっけつ)性心不全を生じるようになると、
過剰なNa摂取に対しての排泄能は著しく低下し、
体内への貯留を行ってしまうという結果になります。

Naの含量は、食品やペットフードの種類によって
大きく異なり、特にヒト用の加工食品や
一部の市販されているスナックは、
Na含量が非常に高いことを認識しておく必要があります。
通常の人の食事では
(残飯などをあげている場合などでは、)
塩分過多の状態となります。
必要な量の10倍にものぼることがありますので、
当然10年以上そのままで生活していると、
かなりの確率で、腎臓や肝臓を壊してきます。
問診時に食事を聞くと
その辺の検査の必要性も考えの中に入ってきて、
診療を行う際にすごく役に立ちます。

心拡張のない初期の心疾患の徴候
(心雑音が聞き取れて、臨床症状がない状態)が現れた段階で、
中〜低量Na食(例:ヒルズで言うところのg/d、k/d)に
切り替えることは、 飼主さんが心疾患の進行に
常に注意を払うことにもつながります。
また、患者さんの食餌内容を確認し、
このような食餌介入を早期から徐々に開始することにより、
将来さらなる塩化ナトリウム制限を行う際に
受け入れやすくなります。
味に慣れてくるということです。
心疾患用にNaを制限したフード (例:h/d)でも
AAFCOの最少Na許容量を満たしており
不足ではないことに注目してください。
全く無くすと逆効果ですので、
心臓が悪いから塩分は全く取らないというのではなく、
最小限を取る程度にとどめることが必要です。
この辺は楽するなら処方食が一番で、
処方食は、それだけで生活していけるように調整されています。
一缶でもそれを買って、
成分表示がきちっとされていますので、
それを参考にまず作ってみることもいい方法だと思います。

◆低ナトリウム食の嗜好性について・・・・        

本当においしく食べられるのか?
ナトリウム以外にも
ショ糖、アミノ酸によって 味覚が刺激され、
適切な配合により嗜好性を高めることが出来ます。
「低ナトリウム食は食べない」という先入観を
獣医師自身が取り除き
飼主に適切に指導することが重要です。
って、、、ヒルズでは、そう言われています。
〈犬用〉h/dドライ(心疾患用の処方食)は、
他のドライ製品と同じナチュラルフレーバーを使用しており、
〈犬用〉h/d缶製品には、さらにショ糖が加えられています。
また、〈猫用〉h/d缶製品の蛋白質は、
乾物で43.6%と他の製品に匹敵するレベルになっています。
だから処方食の際には、 味がまずいだろうということで、
余計なものを入れないで下さい。
嗜好性はどのメーカーでも考慮されています。

◆タウリンの添加(ファイト!一発!)

タウリンは、
中枢神経系において神経伝達物質として働くほか、
体温調節、脳の発達、正常な網膜構造や
心機能の維持にも関与するアミノ酸です。
近年アミノ酸というのが
体にいいということがいわれていますよね。
ファイト!一発!の栄養ドリンクにも入ってますね。
猫にとっては必須のアミノ酸の一つでもあります。
心不全がある犬猫については、
通常の食餌にタウリンを添加するか、
あるいは、タウリンを多量に含む食餌にすることが
有効な場合があります。
特にタウリン欠乏症であることが明確な個体は、
タウリンの補給に良好に反応することが知られています。
犬ではアメリカンコッカースパニエルや
ゴールデンレトリバーにおいてタウリン欠乏症と、
拡張型心筋症の関係が示唆されています。
心疾患の栄養管理を目的とする処方食である
〈犬用〉h/dや〈猫用〉h/dには
既に十分なタウリンが含まれており、
さらにタウリンを補給する必要はありません。

◆カルニチンの添加

L-カルニチンは、聞きなれないことと思いますけど、
これって最近ダイエットにも注目されている物質です。
(私は、ありとあらゆるダイエット試して
 ことごとく失敗してる人なので、結構詳しいっすよ。)
いちおう、L−カルニチンは、
すべての動物細胞に認められる天然のビタミン様物質で、
生体の95〜98%は骨格筋や心筋に存在しています。
心筋はエネルギー産生のために脂肪酸を選択的、
優先的に利用しており、
L-カルニチンは、その脂肪酸の代謝において
重要な役割を担っています。
ヒトと動物においてL-カルニチンが不足すると、
心筋のエネルギー代謝と収縮能に有害な作用が
現れることが知られています。
とにかく、代謝を促進させるのは、 悪いことではないので、
皮膚の状態悪化にもいい作用があります。
私は、心疾患腎疾患などでは特に処方食をすすめています。

◆薬物と食餌の相互作用とモニターの重要性

低カリウム血症、高カリウム血症
および低ナトリウム血症などの電解質異常は、
心不全・腎不全などの患者の
薬物療法の潜在的な合併症です。
利尿剤を使ったりしていくと、
尿にカリウムなどが、出ていくことで
バランスが崩れてきます。
ACE阻害薬を投与している患者は
軽度〜中程度の
高カリウム血症を示す傾向がありますから、
過剰なカリウム摂取は避けなければなりません。

また、利尿薬を併用した場合は、
尿中からの喪失を考慮して
適切な量のカリウム、マグネシウムを
与える必要があります。
これらの薬物の投与に関しては
一般的な推奨はまだ確立しておりません。
ですから治療と平行して、
患者ごとに血清中電解質や
マグネシウム濃度の測定の他、
体重、ボディコンディションスコア、
腎機能を頻繁に再評価することが不可欠になります。

皮膚病においても、様々な薬剤を投薬します。
ステロイドで痒みをコントロールすることも
必要な場合があればしますし、
その際には、肝臓の値をモニターする必要もあるでしょう。
また、ハンドメイドでも、
ある程度は自然界の肉なども使わないと、
バランスが保てなくなります。
例えば、サプリメントでコントロールするなんてできっこないです。
粉だらけで、食べられたものではないでしょう。
ビタミンもA,B,C,D,E,,,,ってやっていかないといけないし、
カルシウム、マグネシウム、などなども、考えないといけない。

そう考えたら、やはり肉を作るなら肉。
血を作るならレバー。 それが一番早いです。
ある程度はハンドメイドと言っても色んなものを混ぜて、
体にいいバランス。黄金率があります。
ただ、基本は、アレルギーの物質は避ける。
それと、上で説明したものは含むようにしてあげてください。

キャベツ入れてもいいし、お米でもいい。
その際に今まで食べていた処方食でもいいけど、
それに即したバランスを保つように考えてみてください。
お米ベースで、とか、チキンベースで、とか、
そういう事を考えながら、味もほとんどつけなくてもいいので、
今日はトマト入れてみるとか、
心疾患なら、ブロッコリーがいいから入れてみようとか
そういう事も工夫してあげてくださいね。
ちょっと暖かくするだけで、
味のないものでも多少の湯気とともににおいが発生して、
おいしく感じてくれるはずです。
アミノ酸、ビタミン、蛋白などの
バランスを決めてあげていくことが基本ですよ。
さぁ、レッツトライ!です。

アレルギーに対処する方法を書いてきましたけど、
まずアレルギーになったら、
痒みをコントロールするということが重要になります。
ステロイドをバンバン使って コントロールする時代は過ぎました。
痒いなら痒くないようにしてあげる工夫をしていくといいです。
アレルギーの元となるモノを除去する必要性は
今回読んで頂いた方々にはご理解いただけたと思います。
そして、体質や免疫システムの遺伝とともに、
アレルギー体質というのも遺伝していきます。

アレルギーをさらに助長するようなものに、
脂漏症があります。
シーズーなどでよくみかけるものです。
やはり肌がベトベトすると、
細菌の繁殖に適した環境になり、
痒みの炎症に続いて、
細菌感染という二次災害がおきます。
そういう二次災害のない皮膚疾患には、
抗生剤も必要ありません。
体元気でしっかりとした皮膚の防御システムがあれば
へっちゃらですもん。
ただ、ベトベトの皮膚には、
アレルギーの元となる花粉や家ダニなどの
死骸の粉末(これも蛋白)がひっ付きやすくなります。
そしたら、やはり皮膚を刺激して、
アレルギーを起こしやすくなるという側面も持ち合わせていますので、
アレルギーというものに
皮膚の脂漏症なども関与してくると思います。

かなりすごい限定された話をするなら、
空気清浄機を入れて、部屋はフローリング、
外部から空気を持ち込まない。
食事は、アレルギーとなりそうなものを検査した後で
ホームメイドディナーを作る。
こうしたら、アレルギーになる要素は ほぼないと思います。

それで出てくるなら、ホルモンや内分泌の疾患でしょうね。
さてさて、今回は話がかなりそれまくったのですが、
アレルギーや食事の話をかなりかけたと思います。
実際に診察室で話をしているイメージで、
そのままの言葉で書かせていただいたつもりです。
わかりやすいか分りにくいかは別にして、
どれもこれも必要なないようだと考えています。

ちょっと見方変えて
ドッグフードなんてものの表示を見るとかして見てください。
面白いものですよ。
表示のマジック、トリック、その商業戦略。
案外ペット産業の裏側の闇は深いです。
光があれば影がある。光が強ければ影は深くなります。
脂漏症体質なんて
本当に繁殖業者からしたらわかっているはず、
アレルギーっぽい体質や、
皮膚の状況の悪い犬というのも
業者さんからしたらわかっているはず、 耳が悪い犬だってそう。
よくペットショップで、
「この子はちょっと耳が悪いんですよ。」なんて言われます。
それってお父さんとかおかぁさんからの遺伝ですか?
お父さんおかぁさんはどうなんですか? って、
実際に聞きたい気分になりますよね。
体質的に皮膚の悪い家系みたいなのもあります。
考えた繁殖が求められます。

たかが皮膚病、されど皮膚病です。
今月のNJKという
私が連載している獣医師向け雑誌2004年3月号に
皮膚科の権威の先生がインタビューに答えて、
こう書いています。
「動物病院を訪れない軽度のケースを含めれば、  
10頭に1頭はアトピー性皮膚炎ではないかと言われている。」
その中でも食事単独のアレルギーというのは、
少ないようですけど、最初のほうにかいたように、
複合性のアレルギーというのがけっこうあります。
きちんとしたフードを選択することも、
アトピーでは重要と言われています。
また、脂肪酸のバランスを考慮したフードや 、
除去食も効果的だと言われています。
もし処方食を試される場合には
獣医師と綿密な話し合いもしてくださいね。
未だに皮膚病はどんどんと解明が進んできています。
犬だって花粉症もあれば、食事アレルギーもある。
人間と同じなんだ!と、わかっていただけたと思います。

正確な遺伝形式はいまだ判明してませんけど、
犬だって人と同じく体質の遺伝はあります。
また、皮膚疾患を増強するような体質の遺伝もありますので、
決してアレルギー体質単独の遺伝のみで、
考えていいモノではないと思います。
長く書いてきました。
読んでくださった皆様お疲れ様でした。

何度か読み返すうちに、理解していただけたらと思います。
そして、もし自分の犬が皮膚病になったりした時には、
担当の先生と徹底的に話し合って、
そして最善の方法を選択していく事も重要なので、
納得いくまで話しあいをしてもらってくださいね。
今回のこれが参考になれば幸いです。

それでは、今回はこの辺で・・・。

 

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